CI(Continuous Integration)とは
CI(Continuous Integration)とは
概要と定義
CI(シーアイ)は、Continuous Integration(継続的インテグレーション)の略であり、開発チームが行う変更(コミット)を定期的に統合し、自動でビルド・テストなどを実行して品質を保証する開発手法を指します。
1990年代後半のアジャイル開発思想に端を発し、現在ではほとんどの現場で導入されている基本的な自動化インフラです。
CIはコードレビューと密接に関係しており、PR作成時にコードが正しく動作するか/スタイルが適合しているか/テストが通るかなどを自動的に検証する役割を果たします。
なぜCIが重要なのか:実務上の背景
かつてのウォーターフォール開発では、全てのコードを手作業で統合し、数週間に一度だけビルド・テストを行うのが通例でした。
その結果:
- マージ後にバグが一斉に発覚(Integration Hell)
- 誰が壊したか特定できず、全体の手戻りコストが増大
- テストが遅れて開発リズムが崩壊
CIはこれを回避する手段として登場しました。「小さな変更をこまめに統合」し、「毎回確実に検証する」ことでトラブルの原因を局所化し、開発のスピードと安定性を両立します。
CIツールの種類と主な機能
ツール名 | 概要 | 備考 |
---|---|---|
GitHub Actions | GitHubに内蔵されたCI/CDランナー | .github/workflows/ で定義 |
CircleCI | クラウド型CI/CDサービス | Docker連携や並列実行に強み |
GitLab CI | GitLabに標準搭載 | .gitlab-ci.yml で定義 |
Jenkins | 自由度の高い老舗CIツール | 社内構築・プラグイン管理が必要 |
Travis CI / Azure Pipelines | 古参〜エンタープライズ向けCI群 | OSS支援・大規模連携対応が特徴 |
CIは一般的に次の機能を持ちます:
- コードのビルド
- ユニット/統合テストの実行
- 静的解析(Lint, Type Check)
- デプロイの自動実行(CD)
- レビュー支援としてのStatus Check表示
レビューとの関係性
CIは「レビューの下地」を作る
Pull Requestに対してCIが事前に以下のようなチェックを自動実行してくれることで、レビュアーは構文・テストの通過を前提に、設計や意図の確認に集中できます。
PR #4523
- ✅ lint: Passed
- ✅ test: 42 tests passed
- ✅ build: Success
→ Ready for review
CIが壊れているとレビューが進まない
CIが落ちたまま放置されると、レビューが止まり、PRの寿命が延びて開発全体に支障が出ます。
このため、CIの安定性とスピードはレビュー効率にも直結します。
注意点と導入の落とし穴
⚠ CIが重すぎてレビューが滞る
- テストが1回20分以上かかるような構成では、PRが渋滞
- 対策:チェックの分割・並列実行・キャッシュ利用などの最適化が必須
⚠ チェックが曖昧 or 不透明
- 「何が原因で失敗しているか」が見えないCIは運用上ストレスに
- 対策:ログの整備、Slack通知、失敗時の再現方法ガイドを明示
CIとレビューの関係図(シンプル版)

まとめ:CIはレビュー品質の土台
- CIは単なるテストランナーではなく、レビューと継続開発のインフラ
- 現代の開発では、CIが壊れているチームはレビューも壊れる
- 運用の安定性とチェック粒度の設計が、CIの成否を分ける