Check(ステータスチェック)とは

概要と定義

コードレビューにおけるCheck(チェック)とは、Pull Request(PR)に紐づけられたCI(継続的インテグレーション)ツールによる自動検証プロセスの総称です。

GitHubではこれを「Status Checks」と呼び、次のような自動処理が該当します:

  • Lint(コードスタイル検査)
  • Unit Test(単体テスト)
  • Build Test(ビルド確認)
  • Type Check(型検査、例:TypeScript)
  • Coverage(テスト網羅率の検証)

PR作成または更新時に実行され、チェックがすべて成功(緑)にならない限りマージできないように制約設定することができます。

背景と導入理由

チェック機構の導入は、レビュー品質の自動化と効率化が主な目的です。

  • スタイル違反の指摘を人間が行う非効率を回避
  • 破壊的な変更(ビルドエラー、未検出のテスト失敗)を防止
  • レビュアーが設計や命名に集中できる環境を作る

GitHubでは、これを Branch protection rules > Require status checks to pass で設定可能です。

実務で使われるチェックの主な種類

チェック名 内容 使用ツール例
lint コーディング規約・構文ルールの検証 ESLint, stylelint
test 単体・結合テストの自動実行 Jest, Mocha, Vitest
build ビルド成功可否の検証 Webpack, Vite, tsc
type check 静的型チェック TypeScript, MyPy
format コードフォーマットの自動修正確認 Prettier, gofmt
coverage テスト網羅率の計測と閾値検証 Jest + Istanbul, Codecov
security audit 依存パッケージの脆弱性検出 npm audit, OWASP Dependency-Check

現場での会話例

Reviewer:
  チェック2件落ちています(lintとcoverage)。
  通ったらApprove出します!
Developer:
  修正して再Pushしました。CI通過したらauto-merge入ります。

注意点と導入時の工夫

CIの実行時間が長すぎると、レビュー待機が発生

  • → チェックを段階化(pre-lint, fast test, full test)し、短時間でレビュー着手可能に

チェックがランダムに失敗(フレーク)

  • → フレーク対策として再実行可能な環境を整える
  • → 不安定なテストは一時的に除外 or retry 設定を導入

チェックが何を見ているかが不透明

  • → CIツールのログ出力に「どのルールで失敗したか」「どのファイルか」を明記
  • → PRテンプレートに「どのチェックが走るか一覧記載」などの工夫も

まとめ:Checkは「レビュー品質の基盤装置」

  • チェックはPR品質を守る自動的なゲート
  • 人的レビューと分担することで設計・意図の議論に集中できる
  • 導入と設定の透明性が、レビュー文化の成熟度を左右する

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