開発者の話を遮るハラスメントレビューアー
はじめに
コードレビューで、同僚が何か説明しようとしたとき「いや、それは違って」と口を挟んでしまったことはありませんか?
私も昔はやってました。「話が長そうだな」と思うと、つい「要するにこういうことでしょ?」と先回りしてしまう。でも、それって相手からすると結構キツいんですよね。
今回は、レビューで「話を遮る」ことの弊害について書いてみます。特に、無意識にやってしまいがちな「遮り」がチームの信頼関係に与える影響を考えてみました。
ありがちな光景:それ、先に言ってくださいよ
よくある会話パターン
実装くん「ここの分岐ですが、データの取得元が複数あるので、それぞれの型を一度…」
詰問さん「それなら、共通化すればよくないですか?わざわざ分けて書く意味あります?」
実装くん「(あ、でも、共通化すると逆にAPIの補完で…)いえ、それはその、補完の挙動が…」
詰問さん「いや、でも共通で型定義すれば済む話ですよね?それに、以前もそうしてたと思いますけど?」
実装くん「……はい……そうですね……」
この会話、何が問題かわかりますか?
実装くんは最初から「複数の取得元があるから型を分けた」という説明をしようとしていたのに、詰問さんが話の途中で「共通化すればいい」と結論を押し付けています。
なぜ遮ってしまうのか
私の経験では、話を遮る理由って大体こんな感じです:
時間がもったいない
- 「この人の説明、長そうだな」
- 「見ればわかることをわざわざ説明されても」
自分の方が正しいと思っている
- 「明らかに間違った方向に向かってる」
- 「こうすればいいのに、なんで気づかないんだろう」
効率を重視している
- 「議論するより先に解決策を示した方が早い」
- 「黙っている時間がもったいない」
でも、これって全部「自分目線」なんですよね。相手がどう感じるかを考えていない。
遮られた側の気持ち
私も遮られた経験があるのでわかるんですが、話を途中で止められると:
- 「自分の意見は聞く価値がないんだな」と感じる
- 次から説明するのが嫌になる
- 「どうせ最後まで聞いてくれないし」と諦める
特にジュニアメンバーだと、「また遮られるかも」という恐怖で萎縮しちゃうんですよね。
遮らないレビューのコツ
まずは最後まで聞く
当たり前のことですが、これが一番大事。相手が話し終わるまで待つ。
言いたいことがあっても、メモしておいて後で話す。「途中ですが」って割り込むのは、結局遮ってるのと同じです。
質問で理解を深める
いきなり否定するのではなく、まず相手の考えを理解する:
- 「なるほど、その判断の理由を教えてください」
- 「他の選択肢も検討されましたか?」
- 「このアプローチのメリットはどこにありそうですか?」
沈黙を恐れない
レビュー中の沈黙って、実は悪いものじゃありません。相手が考えをまとめる時間だったり、次の説明を準備している時間だったり。
「間を埋めなきゃ」という焦りが、遮る原因になることも多いです。
実際にやってみた結果
私も意識して「最後まで聞く」を実践してみたところ、こんな変化がありました:
チームメンバーから
- より詳細な設計背景を話してくれるようになった
- 「実はこんな懸念もあって」という本音を聞けるようになった
- レビューの時間は少し長くなったけど、手戻りは減った
自分自身も
- 見落としていた観点に気づくことが増えた
- 「なんでこう書いたんだろう」という疑問が解消されやすくなった
- レビュー後の関係がギスギスしなくなった
遮ってしまったときは
それでも、つい遮ってしまうことってありますよね。そんなときは素直に:
「すみません、続きをお聞かせください。ちゃんと最後まで聞きたいです」
この一言があるだけで、雰囲気が全然変わります。
まとめ
レビューって、コードの品質を上げることが目的ですが、それ以前に「お互いの考えを共有する場」でもあります。
話を遮ってしまうと、技術的には正しいアドバイスをしていても、相手との信頼関係を壊してしまう可能性がある。
次回のレビューでは、「最後まで聞く」を意識してみてください。きっと、今まで見えなかった相手の考えが見えてくるはずです。